企業など252団体、政府に輸入化石燃料への過度な依存からの脱却を求める

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記事のポイント


  1. 252団体が日本政府に、輸入化石燃料への過度な依存からの早期脱却を求めた
  2. 再エネへの転換を柱に、エネルギー安保と脱炭素経済の実現を提言
  3. 11月9日から始まるCOP31を前に、非政府アクターが連携を強化した

企業、自治体、団体、NGOなど870超の組織でつくる気候変動イニシアティブ(JCI)は11月5日、日本政府に輸入化石燃料への過度な依存から早期脱却を求める提言を公表した。企業や自治体、大学・研究機関、NGOなど計232団体が賛同し、再エネへの転換を柱に、エネルギー安保・脱炭素経済の実現を図ることを求めた。11月9日から始まる気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)を前に、非政府アクターが連携強化の姿勢を示した。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

COP31を前に、252団体が日本政府に対して、輸入化石燃料への依存からの早期脱却を求めた

熱波や豪雨、干ばつなど、日本を含む世界各地で気候危機がかつてない深刻さで現実化する中、JCIは、政府や非政府の立場を超えて連携し、社会全体でこの危機を共有し、課題に対応していくことの重要性を訴えた。

気候危機に対応するには、再エネへの転換を軸に、省エネルギーや電化を進め、化石燃料から早期に脱却していくことが不可欠だ。JCIは、高市早苗首相をはじめとする各省庁に対し、以下の4つの政策課題を柱に、エネルギー安全保障と脱炭素経済の実現に取り組むことを提言する。

  1. エネルギー自立を実現する
  2. 電化による脱炭素化を加速する
  3. 分散型エネルギーシステムで強靭な社会をつくる
  4. 埼栄可能エネルギー転換への投資を促進し、競争力を高める

JCIの加藤茂夫共同代表は11月5日、都内で開催した記者会見で、「日本政府もGX(グリーントランスフォーメーション)の方針を示している」と政府との連携の大切さに触れたうえで、2050年にゼロを目指すという悠長なタイムフレームではなく、今からのこの5年間・10年間が勝負の分かれ道であると強調した。

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そして、世界で再エネ技術を活用した脱炭素戦略で経済成長とエネルギー安全保障の強靭化が同時に実現する中で、日本でも同様に、今すでに確立された技術を最大限に活かし、圧倒的なスピードとスケールで政策や行動を実行に移すことが強く求められていると力を込めた。

今からの5年、10年が大事だと話すJCI加藤共同代表

■多様なアクターが、提言に賛同する

記者会見では、賛同するJCIメンバー団体も、この提言に賛同する思いを語った。

高等教育機関として先駆的な取り組みを展開する上智大学の横山恭子学生総務担当副学長は、同大学が全キャンパスで100%再生可能エネルギーへの移行を達成したと紹介し、学生が日常生活の身近なところで再エネや気候変動を自分事として考える機会を創出できるよう、太陽光によるスマホ充電スポットの常設化を進めていると話した。

全国に3100万人の組合員を抱える日本生活協同組合連合会(生協)は、気候変動が組合員の暮らしや農林水産物の安定供給に加え、事業そのものを揺るがす重大な問題と捉える。同連合会の組織推進本部社会・地域活動推進部の新良貴泰夫サステナビリティ推進グループマネージャーは、2030年にCO2排出量の半減を実現すべく、「つくって、つかって、ひろげる」を合言葉に再エネ導入や省エネの加速を進めていると語った。

ユース世代を代表する青年環境NGOクライメート・ユース・ジャパンの金武朝陽さんは、国連環境計画やIPCCが示す科学的知見から伝わる、破滅的な温暖化に向かう現状に対して、強い危機感をあらわにした。化石燃料からの脱却が生存権や人権に直結する問題であると訴え、同団体では自ら炭素会計を導入して科学的整合性のある行動をしていると話した。

戸田建設のイノベーション本部環境ソリューション部の樋口正一郎プリンシパルアドバイザーは、同社の取り組みとして、建設由来のCO2削減に向けてZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の建設を牽引するとともに、長崎県五島列島での浮体式洋上風力発電所の運用など、脱炭素に向けた革新的な再エネ技術開発と社会実装に挑んでいることを紹介した。

パタゴニア日本支社のインパクト部門で環境イニシアティブを担当している加藤秀俊氏は、記録的猛暑や豪雨でアウトドアビジネスや子どもたちの遊び場が脅かされていることに言及し、今すでに確立された再エネなどの技術をより早く大きな規模で進めることが不可欠だと力を込めた。ソーラーシェアリングを通じた農業・地域経済の自立や、リジェネラティブ農業、さらには若い世代が進める気候正義訴訟の支援を通じて、社会変革を支えていくと語った。

ニッセイアセットマネジメント運用本部サステナブル投資推進部の小林博志執行役員は、金融の世界でもレジリエンスを高める「適応」への関心が高まっているが、再エネの普及拡大という「緩和」を欠いては防戦一方となると指摘した。運用会社として事業会社に対話を通じて長期的な移行計画を促す中で、川上からクリーンなエネルギーが安定して流れる世界が現実味を帯びれば、企業の脱炭素投資や計画の信頼性は格段に向上すると話した。

東京製鐵の津田聰一朗取締役は、日本全体のCO2排出量の約13%を占める鉄鋼業における同社の取り組みを紹介した。同社は石炭・鉄鉱石を使った高炉に比べCO2排出量を約5分の1に抑える電炉による製鉄や、100%国内の鉄スクラップを原料として活用するなど、リサイクル・循環経済・脱炭素の3本柱で取り組みを進める。そして再エネとの親和性を徹底的に追求することで環境価値と市場競争力を高めていくと力を込めた。

一般社団法人エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議(神奈川・小田原市)の鈴木悌介代表理事は、気候危機は地域経済を担う中小企業にとっても環境・経済・経営の三面から避けて通れない課題だと話した。

■JCI政策提言に賛同した252団体リスト

JCIの政策提言に賛同した252団体は以下のとおり。

企業
アース製薬、artience、RN建設、IDEC、アジアゲートウェイ、アシックス、アスエク、 UPDATER、荒川化学工業、アルファシステムズ、E-konzal、イースクエア、イーレックス、伊藤園、ウェイストボックス、ウェザーニューズ、ウォータースタンド、内海産業、 ウフル、EIZO、H.U.グループホールディングス、エイチワン、AREホールディングス、エーザイ、AC Biode、エクセディ、エスペック、Sリサーチ・アンド・アドバイザリー、 EDO KAGURA、エナジー311、NOK Group、NTT アノードエナジー、NTT データグループ、エフピコ、大川印刷、オークネット、大崎電気工業、大塚商会、大塚ホールディングス、オカムラ、小田急電鉄、小田原かなごてファーム、おひさま進歩エネルギー、 office 3.11、カインズ、花王、カゴメ、KAJIWARA、仮設機材工業、エコ・プラン、加山興業、カルビー、川崎未来エナジー、キッコーマン、キリンホールディングス、熊谷組、グリーナー・スペース・プランニング、グリーンパワー工業、KDDI、京阪神ビルディング、 ケーズホールディングス、Codo Advisory、光陽社、コーセーホールディングス、コーセル、コニカミノルタ、サカタインクス、サッポロビール、サンメッセ、三洋商事、GMO ペイメントゲートウェイ、SequencEnergy、ジーテクト、JTB コミュニケーションデザイン、J.フロントリテイリング、シチズン時計、島津製作所、シミックホールディングス、ジャムコ、Joshin、ジョブモア、新菱冷熱工業、スーパーバッグ、すかいらーくホールディングス、鉄建建設、住友重機械工業、住友ファーマ、住友林業、セブン&アイ・ホールディングス、セレス、ゼロボード、ソーラーワールド、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン、ソニーグループ、ソフトバンクグループ、ダイキン工業、太陽化学、太陽油脂、大和ハウス工業、宝塚すみれ発電、竹中工務店、たけびし、脱炭素化支援、田辺ファーマ、チェンジ・エージェント、中外製薬、ツムラ、鶴見製作所、TBM、デジタルガレージ、テスホールディングス、TERA Energy、テルモ、東急、東急建設、東京製鐵、トーモク、戸田建設、飛島建設、ニコン、西松建設、ニチリン、日産自動車、日清食品ホールディングス、日東工業、日本郵政、日本郵船、日本ウエスト、日本プラスト、野村総合研究所、パタゴニア日本支社、パナソニックホールディングス、ビジネスエンジニアリング、ビジネスブレイン太田昭和、日立製作所、日立ハイテク フォスター電機、藤倉コンポジット、フジタ、富士通、富士電機、富士フイルムホールディングス、ブラザー工業、古河電気工業、ポーラ・オルビスホールディングス、松田産業、宮城衛生環境公社、未来創造部、森永乳業、矢野経済研究所、ヤマタネ、ヤマト住建、ヤマハ、イーズ、ユーラスエナジーホールディングス、雪印メグミルク、ヨロズ、LIXIL、リコー、リコーリース、ルネサスエレクトロニクス、レノバ、ロート製薬、ワコム、

金融・投資機関
アクティビア・プロパティーズ投資法人、尼崎信用金庫、かんぽ生命保険、グローバル・アライアンス・リアルティ、KJRマネジメント、コンフォリア・レジデンシャル投資法人、山陰合同銀行、GI キャピタル・マネジメント、CSRデザイン環境投資顧問、滋賀銀行、しずおか焼津信用金庫、ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント、信金中央金庫、大和ハウス・アセットマネジメント、大和ハウスリート投資法人、ニッセイアセットマネジメント、播州信用金庫、ブローディア・プライベート投資法人、三菱地所投資顧問

自治体
大阪市、鹿児島市、神奈川県、川崎市、京都市、東京都、豊中市、長野県、浜松市

大学・研究機関
SLSV CES 研究所、自然エネルギー財団、上智大学、聖心女子大学グローバル共生研究所、地球環境戦略研究機関、千葉商科大学

団体・NGO等
アースレンジャー地球環境アカデミー、アクト川崎、Ichigo Bloom、日本気象協会、NPO 地熱情報研究所、環境文明21、セブン・ジェネレーションズ、エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議、大磯エネシフト、鎌倉サステナビリティ研究所、環境エネルギー政策研究所、環境経営学会、Climate Action Network Japan、Climate Youth Japan、 グリーンビルディングジャパン、グリーンフェイス ジャパン、コープデリ生活協同組合連合会、コーポレート・アクション・ジャパン、コレクティブ・アクション、サークルおてんとさん、CDP Worldwide-Japan、JELF(日本環境法律家連盟)、自然エネルギー市民の会、自然エネルギーネットまつもと、持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム、持続社会連携推進機構、アース・シェルパ、湘南・省エネネットワーキング、消費者市民社会をつくる会、生活協同組合パルシステム神奈川、生活協同組合パルシステム埼玉、世界自然保護基金ジャパン、ZEH 推進協議会、全国ご当地エネルギー協会、全国消費者団体連絡会、気象キャスターネットワーク、コンシューマーズ京都、大阪環境カウンセラー協会、サステナビリティ日本フォーラム、所沢市民ソーラー、日本PVプランナー協会、日本生活協同組合連合会、日本溶剤リサイクル工業会、日本若者協議会、Pacific Environment、パルシステム生活協同組合連合会、ピースボート、ひょうご持続可能地域づくり研究所、福井小水力利用推進協議会、北海道グリーン購入ネットワーク、北海道グリーンファンド、北海道再生可能エネルギー振興機構、みどりのドクターズ、Youth For One Earth、ワタシのミライ

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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