CSRを「企業が利益がでた時にだけ寄付の形で行う社会貢献」に矮小化してしまうと、ソフトローなど社会からの要請に対応する「広義のコンプライアンス」(第2象限)や、「SDGsアウトサイドイン・ビジネスアプローチ」など価値創造型CSR(第1象限)が置き去りになりがちです。
数年前、日本でCSV(共有価値の創造)がブームになった時にも、「CSRはもう古い」「これからはCSVだ」との声も聞かれました。しかし、4つの領域図の通り、CSRはCSVをも含む広い領域であり、その4領域すべてが同等に重要なのです。
そもそも、「SDGsを社会経済システムに実装化していく」ためには、まずCSRを包括的に理解し、そのツールとしてのSDGsに向き合うことが重要です。SDGsの取り組みは、上記のCSR領域図にある4つの象限すべてが欠かせないのです。
第1象限の「価値創造型CSR」や第2象限の「広義のコンプライアンス」を知らないでSDGsに取り組むと、企業や組織にとってはむしろリスクが増えることになります。例えば、広義のコンプライアンスでは各種CSRイニシアティブへの対応や、NGO/NPOとのエンゲージメントが問われます。