編集長コラム) CSRを軽視したSDGsはあり得ない

CSRを「企業が利益がでた時にだけ寄付の形で行う社会貢献」に矮小化してしまうと、ソフトローなど社会からの要請に対応する「広義のコンプライアンス」(第2象限)や、「SDGsアウトサイドイン・ビジネスアプローチ」など価値創造型CSR(第1象限)が置き去りになりがちです。

数年前、日本でCSV(共有価値の創造)がブームになった時にも、「CSRはもう古い」「これからはCSVだ」との声も聞かれました。しかし、4つの領域図の通り、CSRはCSVをも含む広い領域であり、その4領域すべてが同等に重要なのです。

そもそも、「SDGsを社会経済システムに実装化していく」ためには、まずCSRを包括的に理解し、そのツールとしてのSDGsに向き合うことが重要です。SDGsの取り組みは、上記のCSR領域図にある4つの象限すべてが欠かせないのです。

第1象限の「価値創造型CSR」や第2象限の「広義のコンプライアンス」を知らないでSDGsに取り組むと、企業や組織にとってはむしろリスクが増えることになります。例えば、広義のコンプライアンスでは各種CSRイニシアティブへの対応や、NGO/NPOとのエンゲージメントが問われます。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

執筆記事一覧
キーワード: #CSR#SDGs

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..