そこで富山さんが取り組もうとしているプロジェクトがオーガニック・チョコレートの販売です。これはネパリ・バザーロとの連携。もともとはネパールで学校建設やフェアトレードをしている団体で、陸前高田でも椿油販売で復興を支援しています。連携してインドのオーガニック・カカオを沖縄で精製、沖縄の黒糖と合わせてオーガニック・チョコを作ろうというアイデアです。
ことし11月に、一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(東京)が主導して陸前高田市今泉地区に設立する商業施設「発酵パーク・CAMPSY(カモシー)」に入居、チョコレートの製造・販売が始まる予定です。この地区は藩政時代から味噌、醤油屋が軒を連ねるなど発酵の里として知られたところですが、津波で壊滅的な打撃をこうむりました。そのため新設される施設では古くからの味噌、醤油のほか、地ビール、パンに加え、発酵食品であるチョコレートも加わることになったわけです。
富山さんは「地元の人たちと一緒にお店を出せるのがうれしい。より良い社会づくりへの挑戦の第一歩。チョコは純度が高く健康にも効果がある。働く人もリハビリで回復した高齢者や障がい者を予定しており、ユニバーサル就労、ユニバーサル・タウンのモデルになりたい」と意欲的です。
ソーシャル・ビジネス・ネットワークの町野弘明専務理事は、そんな富山さんを「彼は根っからの社会起業家。経営が苦しい旅館を、健康の宿として立て直すなどいろんな手法を駆使して陸前高田を変えようとしている」と高く評価しています。 (完)