3頭のゾウとSDGsの話

アナンさんはダボス会議で、グローバル企業の経営者にこう呼び掛けました。「皆さんにお願いしたいのは、皆さんの企業やネットワークを使って、気候変動や人権(特に途上国の児童労働)など世界の社会課題解決に取り組み、支援し、それを皆さんのコア・バリューにして欲しいのです」。

アナンさんは企業やビジネスの力を使って、グローバル規模の社会・環境課題を解決しようとしました。しかし、現時点で、格差問題は解決したとは言えません。

環境問題ではその後、2015年のパリ協定で今世紀後半の脱炭素が明示されました。今年10月、日本も菅首相が遅ればせながら「2050年カーボン実質ゼロ」を表明しましたが、実行はこれからです。

「2頭目のゾウ」は「黒いゾウ」(ブラックエレファント)で、米国のジャーナリストであるトーマス・フリードマン氏が2016年の著書「遅刻してくれて、有難う」で使った言葉です。

ゾウがゆっくりとやって来るように、「いつかは起きるのが明白な問題を放置し、大きな被害が起こること」を指します。事前予測が困難な「ブラックスワン」とは別の形の、大きなリスクです。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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キーワード: #SDGs

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