アナンさんはダボス会議で、グローバル企業の経営者にこう呼び掛けました。「皆さんにお願いしたいのは、皆さんの企業やネットワークを使って、気候変動や人権(特に途上国の児童労働)など世界の社会課題解決に取り組み、支援し、それを皆さんのコア・バリューにして欲しいのです」。
アナンさんは企業やビジネスの力を使って、グローバル規模の社会・環境課題を解決しようとしました。しかし、現時点で、格差問題は解決したとは言えません。
環境問題ではその後、2015年のパリ協定で今世紀後半の脱炭素が明示されました。今年10月、日本も菅首相が遅ればせながら「2050年カーボン実質ゼロ」を表明しましたが、実行はこれからです。
「2頭目のゾウ」は「黒いゾウ」(ブラックエレファント)で、米国のジャーナリストであるトーマス・フリードマン氏が2016年の著書「遅刻してくれて、有難う」で使った言葉です。
ゾウがゆっくりとやって来るように、「いつかは起きるのが明白な問題を放置し、大きな被害が起こること」を指します。事前予測が困難な「ブラックスワン」とは別の形の、大きなリスクです。