農業・医療・教育社会に種まき続々


「いまの時代、未来の世代に投資しないという選択肢はない」ーー ロート製薬の山田邦雄会長はこう言い切る。製薬会社でありながら、農業や教育など持続可能な社会をつくるために様々な領域に進出する。その狙いを聞いた。(聞き手・森 摂=オルタナ編集長、池田真隆=オルタナS編集長)

東日本大震災で経営の社会性の重要さをより実感したと強調する(撮影:高橋 慎一)
■農業も医療も全ては「健康」へ

 ──ロート製薬は有機農業にも取り組んでいますが、製薬会社がなぜ野菜を作っているのですか。

よく、なぜ薬だけでなく野菜も売っているのかと聞かれますが、当社のなかでは、薬も野菜もつながっています。製薬会社として薬で健康を追求してきましたが、病気を治すには人間の自己治癒力を高めることも重要です。免疫力を高めるには、食べ物が大いに関係します。

添加物を加えた食べ物ではなく、農薬や化学肥料を使わない地産地消の有機農業こそ健康に直結すると考えました。当社は約10年前から有機農業に取り組み、沖縄・石垣島や奈良県宇陀市で行っています。宇陀は創業者の故郷であり、「薬草栽培の発祥の地」とされています。

そこで作った野菜は商品化して、地元の小売店で販売していますが、将来的には地域の経済を回せるほどの存在にしていきたいのです。

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森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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