「利益の前に社会課題」、リジョブ社長のCSV経営

――全社員との面談の狙いは、社内コミュニケーションでしょうか。

それもあるのですが、最大の狙いは自社の存在意義の再定義です。何のために会社は存在するのか、よりどころになるものをつくっておきたいと考えたのです。

創業者の採用基準に、「世界を変えたい人」というものがあって、当時はグーグルのように画期的なサービスで世界を変えることで社会をよりよくしていこう、と考えている人を採用していました。こうした価値観を大事にしながら、存在意義を再定義していきました。

いまはSDGsがこれだけ社会に浸透するなど、歴史的な転換点です。多くの企業も社会課題の解決を重視した経営に舵を切っています。その背景には、一国だけで課題を解決するのではなく、二国間で利害を合致した形で取り組むスキームができたことがあります。国レベルでの提携ができるようになったことで、民間企業はその制度の中で事業活動ができるようになりました。そのため、事業の社会性が非常に重要です。

その一環として、特定技能制度を使って外国籍労働者と日本の介護施設をマッチングする事業も構想中です。

――事業の社会性や存在意義などを、どのようにして社内に浸透させていますか。

事業と社会的な価値を接続するための「貢献指標」を定めました。貢献指標を高めることで、事業価値が高まるように設計しています。例えば、サロンの求人サービスの貢献指標は、就業継続率などです。

具体例として、たとえばうちのサービスを通してスタッフを採用した時と、1年間就労した時にお祝い金を出す制度があります。ただ、採用を支援するだけでなく、業界課題である就業継続率の向上につながる取り組みを貢献指標として重要なKPIにしたのです。

こうすることで、メンバーが事業価値と社会的価値をリンクさせ、日々の業務に取り組めるようになりました。

また、数ある貢献指標に対するメンバーの想いや取り組み、成果、チーム力などを伝えるインタビュー記事を定期的に共有・発信しています。オフィスにはメンバーがお客様や求職者様との間に咲かせた「人と人との結び目」を掲示するスペースを設けて「リボンド」と呼んでいます。

オフィスに設けた「リボンド」掲示スペース
M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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