「浮体式洋上風力発電所」の勝機、戸田建設会長が語る

記事のポイント


  1. 戸田建設は「洋上風力」を軸に日本のエネルギー転換を進める
  2. 2026年1月には国内初の「浮体式洋上風力発電所の商用稼働」を目指す
  3. 同社の今井雅則会長が描く、再エネ転換への道筋とは。

戸田建設は「洋上風力」を軸に日本のエネルギー転換を進める。日本の「風資源」がエネルギー需要の約2倍のポテンシャル(9031TWh)を持つと見込み、2026年1月には国内初の浮体式洋上風力発電所の稼働を目指す。同社の今井雅則会長が描く、再エネ転換への道筋とは。(聞き手・オルタナ輪番編集長=池田真隆、写真=廣瀬真也)

戸田建設 今井雅則・代表取締役会長
1973年、戸田建設入社、2008年執行役員。常務執行役員大阪支店長、執行役員副社長を経て、2013年社長に就任。2021年から会長。全国建設業協会会長、建設業労働災害防止協会会長、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)代表理事、エコ・ファースト

――気温40度を超える日が続き、企業にとって猛暑への対応が重要な経営課題になりました。‎‎

猛暑によって日本全体では、5.4兆円分の損失があるとされていますが、建設業が特に被害を受けています。気象庁の発表にもあるように、今後も温度上昇が続き、豪雨災害なども増えることが予測されています。

そのような災害が発生した際、どんな厳しい環境でも復旧・復興にも取り組まなければなりません。まさに強い覚悟と責任感を持って仕事に向き合っています。

厚労省は米国発祥の暑さ指数「WBGT基準」を参考に、基準値を1℃超えると1時間に15分以上の休憩、2℃超えると30分以上、4℃超えると「作業中止」が望ましいとしています。

基準値から4℃超えた日に相当する時間では、24年7月には月に72時間、8月には61時間に及びました。72時間ということは「9日間」に相当し、月の半分ほど働けなかったことを意味します。

日給の作業員にとっては、働く時間が短くなれば収入にも影響します。建設産業は人手不足や資材価格の高騰、生産性向上などの課題を抱えており、非常に厳しい状況に置かれています。

――気候変動問題に対して、企業が政府に働きかける意義をどう考えますか。

建設業としては、要望を発信していく必要があると考えます。ただ、一社だけが言っても誰も聞き入れてくれないので、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)のような団体を通じて提言書を作成する活動が重要です。

気候変動を信じていない人や、分かっていても立場上どうすることもできない人もいます。ですが、私たちがどれだけ困っているかを発信し続けることが必要です。正しいと思うことを発信し続けるしかないのです。

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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