記事のポイント
- 環境省は「サステナブルファッション・パートナー」の第一回総会を開いた
- 同パートナー制度は、衣類回収などを産官学で連携して促すものだ
- 環境省は第一弾のパートナーとしてルミネなど121団体を認定した
環境省と経済産業省と消費者庁の3省庁は10月5日、「サステナブルファッション・パートナー」の第一回総会を開いた。「サステナブルファッション・パートナー」は、個々の企業や団体が進めてきた取り組みを、業界を超えてつなげるためのパートナーシップ制度だ。環境省などは第一弾のパートナーとして、ルミネやワールド、エストネーション(東京・渋谷)など121団体を認定した。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

環境省など3省庁がサステナブルファッション・パートナー制度を立ち上げた背景には、衣類が原材料の調達から生産、使用、廃棄に至るまで、環境に大きな影響を及ぼしていることがある。環境省は同パートナー制度を軸に、「良い服を大切に着る」「使わなくなった服を次の人や製品の資源につなげる」といった行動を消費者に促す。
政府としても、「循環経済への移行」を国家戦略として位置付ける。繊維製品については、家庭から廃棄される衣類の量を2030年度までに2020年度比で25%削減する目標を掲げた。今回のパートナー制度は、こうした循環経済への移行をアパレル業界から後押しする取り組みだ。

10月5日に開いた総会では、第1弾のパートナー121団体を公表した。
■エストネーション、回収だけで終わらない循環へ
エストネーションは、衣類やビニールなどを回収・資源化する「KAISHU SOLUTIONS(カイシュウソリューションズ)」を展開する。店舗で衣類の回収キャンペーンを実施し、参加者には同社のポイントを付与する。
特徴は、回収対象を衣類だけに限定していないことだ。店舗で発生した端材や商品企画時のサンプル生地、ハンガー、アパレル用プラスチックなども対象とし、資源としての活用を進める。端材やサンプル生地の一部は、ギフト用リボンなどの素材として販売している。
2030年までにエストネーションブランドで環境配慮型素材の使用比率30%を目指すほか、衣類を長く使うための環境配慮設計にも取り組む。衣類のサブスクリプション型レンタルサービスも展開し、利用後の衣類を再利用する仕組みを構築している。
■オンワード、16年で「934万点」の衣類を回収
オンワードホールディングスの主要事業会社であるオンワード樫山は、2009年から「オンワード・グリーン・キャンペーン」を展開してきた。約16年間で、約180万人から約934万点の衣類を回収した。
回収した衣類は、RPF(固形燃料)などの代替エネルギーや、再生糸を使った毛布・手袋などにリサイクルする。日本赤十字社と連携し、災害被災地や開発途上国に毛布を寄贈する取り組みも進めてきた。
まだ着られる衣類については、吉祥寺の「オンワード・リユースパーク」やECサイトでチャリティー価格で販売する。2023年からは「Upcycle Action(アップサイクルアクション)」も始め、2030年度までに200万点の回収を目指す。
■大丸松坂屋、「所有しない」選択肢を提案へ
大丸松坂屋百貨店は、循環型ファッションサブスクリプションサービス「アナザーアドレス」を展開する。
服を「所有する」のではなく、「必要な期間だけシェアする」という考え方を打ち出し、購入したものの着る機会がなくなった服や、流行の変化によって廃棄される衣類を減らす。1着の服を複数の人が利用することで、衣類のライフサイクルを延ばす狙いだ。
さらに、修理やリメイクによるアップサイクル、資源循環型の取り組み、環境に配慮したクリーニングや包装、物流などにも取り組む。2026年には東京・日本橋に実店舗を開設し、試着やスタイリストへの相談を含め、リアルな場でのレンタルサービスも始めた。
■「捨てない」から「循環させる」へ
今回のパートナー制度が目指すのは、個々の企業がそれぞれに取り組むだけではなく、回収、再利用、修理、リサイクルなどをつなぎ、衣類を循環させる仕組みを社会全体に広げることだ。
衣類の廃棄量を減らすには、消費者が「捨てない」ことだけでなく、「長く着る」「次の人に渡す」「資源として循環させる」といった選択肢を持つことが重要になる。



