CSRコラム)橋下市長も猪瀬知事も米倉会長もコンプライアンス感覚が欠如

橋下徹・大阪市長の「従軍慰安婦発言」を巡っては海外にも騒動が飛び火し、収束にはまだ相当の時間が必要なようです。

発言内容はさておき、今回がなぜ国際的な問題になったのでしょうか。その根底には、「コンプライアンス問題」があります。

といっても、「コンプライアンス=法令順守」と丸暗記されている方には、ご理解頂くのは難しいかも知れません。オルタナ読者の大半はご存知の通り、「コンプライアンス=法令順守」は誤訳なのです。

その詳細は、オルタナ本誌30号(2012年9月発売)で、新日本有限責任監査法人の大久保和孝CSR推進部長との対談の中でご紹介しています。

参考記事: 「対話」が企業を生かす―「法令順守」は誤訳

かいつまんで申し上げると、英語の動詞 comply の原義は、「相手と対話し、相手のニーズを汲み上げ、理解すること。慮(おもんぱか)ること」です。

つまり、「社会やステークホルダーの考え、ニーズを知り、それに応えていくこと」です。「単に法律を守ればそれで良い」ということでは決してありません。

いまだに誤訳をベースに、コンプライアンス委員会などの組織を置く企業は少なくありません。

もしそのミッションが単なる「法令順守」であるならば、組織の名称を「法令順守委員会」に変えた方が良いと思います。

CSRのResponsibility も、単なる「責任」ではなく、response(応える)ability(能力)を指すと言います。社会やステークホルダーのニーズや要請に答えることが、CSRの根幹なのです。

そして、SR(Social Responsibility)とは、企業だけに求められているものではありません。行政、学校、警察、病院・・・。あらゆる組織に必要なものです。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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