記事のポイント
- コペンハーゲン市は26年3月末、公共バス交通を100%電化した
- 2025年には2005年比で約75~80%の排出削減を達成した
- 市は今、2035年までにCO2の吸収量が排出量を上回る気候ポジティブを目指す
デンマークの首都コペンハーゲンは2026年3月29日、市内を走る全42路線のバスを電気バスに切り替え、公共バス交通の完全電化を達成した。同市は2025年、CO2の排出量を2005年比で75~80%削減したが、26年1月に発効した新たな気候戦略では、2035年までにCO2吸収量が排出量を上回る「気候ポジティブ」を目標に掲げる。(デンマーク・ニールセン北村朋子)

2026年3月29日、デンマークの首都コペンハーゲンは、市内を走る全42路線のバスを電気バスに切り替え、公共バス交通の完全電化を達成した。 同日、最後まで残っていたデンマーク最大路線の「5C」と「19番」が電動化され、市内でCO2を直接排出するバスはゼロとなった。
この取り組みへのはじまりは10年前にさかのぼる。2016年、コペンハーゲン市議会は市の財源で運営する全バス路線を排気ガスゼロの車両へ切り替えることを決議。以来、段階的に電化を進め、ついにその目標を完全に達成した。
「コペンハーゲン市が、公共交通においてグリーンで、CO2も汚染物質も排出しない都市になったことは、歴史的なマイルストーンです。これは私たちが毎日呼吸する空気と気候に大きな違いをもたらします」とシセ・マリー・ウェリン市長は声明で語っている。
今回の最終段階では、地域公共交通事業者Moviaが新たに62台の電気バスを導入。そのうち37台がデンマーク最大路線の5C(年間約1,700万人が利用)に配置された。この路線はかつて2017年からバイオガス車で運行していたが、今回ついに完全電動化。この転換によって市内のCO2排出量は年間約14,700トン削減される見込みだ。
Moviaの交通局長イェッペ・ゴーは「市全路線の電化は歴史的偉業だ。2016年に、2030年までに電気バスを全体の50%にするという目標を設定したが、それを2024年にすでに達成している」と述べた。コペンハーゲン市を含むデンマーク東部全体をカバーするMoviaの現在の電気バス比率は72%(794台)に達し、Movia全体での年間CO2削減量は54,000トンに上る。
■欧州の気候先進都市は「気候ポジティブ」を目指す
この成果は、コペンハーゲン市が長年進めてきたグリーントランジション戦略の一翼を担う。市は2009年に「CPH 2025気候計画」を策定し、2025年のカーボンニュートラルを世界に先駆けて宣言。2005年比で約75〜80%の排出削減を達成したものの、完全な気候中立には届かなかった。
しかし2026年1月からは新たな「気候戦略2035」が発効。2035年までに直接CO2排出量で「気候ポジティブ」(吸収量が排出量を上回る状態)を達成するという、さらに野心的な目標を掲げている。
具体策として市は、地域暖房ネットワークの低温化による化石燃料使用の削減、大規模な都市林の造成、市有建物のエネルギー改修を重点施策として推進する。
デンマーク国内全体に目を向けると、2024年時点で電力の約80%(EU基準)が再生可能エネルギーで供給されており、風力・太陽光だけで約70%を賄う。石炭消費量は2010年比で95%減を達成しており、脱炭素化の速度は欧州でも際立つ。
バスの完全電化は、欧州の気候先進都市コペンハーゲンが積み上げてきた努力の象徴的な成果だ。「気候ポジティブ」という新目標を掲げ、都市全体のカーボン排出をゼロ以下にする挑戦は続いている。



