千葉・神奈川を襲った台風25号の雨量、気候変動で過去平均より5~15%強かった

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記事のポイント


  1. 台風25号の記録的大雨について、科学者らが気候変動による影響を分析した
  2. 気候変動の影響で、雨が1950~1987年と比べ東京周辺で5~15%強まった
  3. 一方、風については統計的に気候変動による有意な変化は見られなかった

千葉・神奈川などに記録的な大雨をもたらした2026年9月の台風25号について、科学者らで構成する国際的な研究機関が、気候変動による影響を緊急分析した。その結果、過去(1950~1987年)に比べて、雨は東京周辺で5~15%強まったが、風については気候変動による有意な変化は見られなかった。発生した極端気象について、気候変動による影響を分析するイベントアトリビューション研究は、国内外で分析結果の出るタイミングが早まっている。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

異常気象と人為的な気候変動との関係性を科学的手法で分析する
イベントアトリビューション研究が進む

フランスに拠点を置く国際的な科学コンソーシアム・クライマミーターは本日、千葉県・神奈川県に記録的な大雨をもたらした台風25号(国際名はドゥージェン:Dujuan)について、気候変動による影響の分析結果を公表した。

分析結果によると、過去(1950~1987年)の類似した気象パターンの台風と比べた結果、東京周辺の雨は約5~15%強まった。また強まった雨の影響域には、国内人口の約3割に相当する首都圏の約3700万人が含まれていた。そのうち約1880万人は、地域の過去の記録の上位0.5%に入る極端な雨にさらされた。台風26号の影響域にある経済活動は、約1.7兆ドル(約270兆円)と試算する。

また雨による被害を100とすると、気候変動によって上乗せされたのはその約6%(推定幅3~9%)だという。

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クライマミーターに参画するフランス国立科学研究センターのダビデ・ファランダ氏は、「台風25号が襲ったのは、世界でも有数の高密度に開発された沿岸地域だ。分析の結果、同じ台風でも数十年前より雨が強かったことがわかった。温暖化で大気が含む水蒸気が増え、台風が関東平野に達すると、その分が強い雨となって降る」とコメントした。

「風には気候変動の明確な影響は見られなかったが、雨には見られた。東京周辺で数百万人と巨額のアセットを危険にさらしたのは、雨とそれによる洪水だ。(人為的な気候変動の原因である)温室効果ガスの排出削減と、洪水対策の強化のどちらも欠かせない」(ファランダ氏)

■8~9月の警戒レベル5相当の大雨の分析も進む

発生した極端気象について、人為的な気候変動による影響を分析するイベントアトリビューションと呼ばれる科学的手法は、国内外で研究が進んでおり、分析結果の出るタイミングが迅速化している。

9月25日には、国内の極端気象アトリビューションセンター(WAC)でリサーチフェローを務める北海道大学大学院地球環境科学研究院の佐藤友徳教授が、2026年8月中旬から9月上旬にかけて全国で発生した大雨6事例について、温暖化との関係を速報的に分析した内容を公表した。

その結果、警戒レベル5相当の防災気象情報が発表された大雨事例のうち、8月13日の千葉(レベル5大雨特別警報、レベル5土砂災害特別警報)、8月30日の福井(レベル5大雨特別警報)、9月5日の鹿児島屋久島(レベル5土砂災害特別警報)の3事例については、気候変動の影響によって大雨が発生しやすくなっていたことがわかった。

また8月27日の石川・富山(レベル5大雨特別警報)、9月8日の愛知・岐阜(レベル5氾濫特別警報、庄内川)でも同様の傾向が見られたが、これらについて温暖化の影響を分析するにはさらなる検証が必要だという。

■豪雨・台風の「激化」はすべてが温暖化の影響とは言えない

一方で、9月7日に伊豆諸島北部で発生した大雨(レベル5土砂災害特別警報)については、温暖化していなかった場合で実験したモデルの方が、大雨の発生確率が高く、気候変動によって降水が減少したことが確認された。

佐藤友徳教授は、「今回の分析では、複数の大雨事例を対象としたことで、温暖化の影響の大きさや現れ方が、個々の事例によって異なることが示唆された。それぞれの事例における降水の強度は、大気・海洋の状態や地形などの地理的条件に大きく左右される一方、地球温暖化などの人間活動の影響も受ける。本分析で評価された温暖化の影響の大きさは、こうした様々な条件が組み合わさった結果を反映していると考えられる」とコメントした。 

「2026年8月~9月には、本分析で対象とした6事例だけでなく、線状降水帯による局地的な大雨を含め、従来の記録を更新する大雨が全国各地で相次いだ。この中には、都市域に深刻な浸水被害をもたらした事例も含まれる」(同)

「本分析で使用したデータは水平格子間隔が20kmであるため、線状降水帯などによる局地的な強雨の強度を正確に評価することには限界がある。一方、これまでの研究から、地球温暖化の進行に伴って短時間強雨の発生確率が長期的に高まるとともに、その発生域が徐々に北へ拡大していることが示されている」(同)

■見慣れた天気図でも、経験を上回る雨が発生しうる

佐藤教授は、「こうした変化を踏まえ、気象庁や自治体が発表する防災情報に注意するとともに、見慣れた天気図であっても、これまでの経験を上回る強い雨が発生し得ることを念頭に置き、防災対策を進める必要がある」とコメントした。

WACの共同代表を務める東京大学大気海洋研究所の今田由紀子准教授は、イベントアトリビューションに関して、「極端な高温事象に関しては、温暖化の影響はほぼ確実と断言できる。数字自体の上下はあるが、温暖化が全くないということはない。一方で雨や台風については、温暖化の影響が明瞭な場合もあればそうでない場合もある」と説明した。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #気候変動

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