「雪山の未来を守る」サステナブルなスキー場が全国で広がる

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記事のポイント


  1. ゴンドラの電力を100%再エネにするなどサステナブルなスキー場が全国で広がる
  2. 脱炭素だけでなく、生ゴミのコンポスト化など、地域循環の試みも進む
  3. 滑り手が寄付付きリフト券で取り組みを支援する仕組みも定着しつつある

温暖化でウィンタースポーツができる環境が脅かされる中、環境に配慮したサステナブルな運営へと舵を切るスキー場が全国で広がっている。リフトの電力を再エネに切り替えるほか、生ゴミをコンポストにして地域循環を図るなど、ゲレンデの個性を生かした環境アクションが活発だ。滑り手が寄付付きリフト券「POWチケット」等を通じてサステナブルな取り組みを支援する仕組みも定着しつつある。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

再エネ電力に切り替えられた戸隠スキー場の越水第4ペアリフト・第5ペアリフト

化石燃料の燃焼がもたらす地球温暖化が、ウィンタースポーツに影響を及ぼしている。そのような中で、サステナブルな経営・運営へと舵を切るスキー場が全国で増え始めた。

気候危機から冬を守る活動を行う一般社団法人Protect Our Winters Japan(プロテクト・アワ・ウィンターズ・ジャパン「POW JAPAN」、長野・大町市)が推進するネットワーク「サステナブル・リゾート・アライアンス(SRA)」には、全国49カ所のスキー場が加盟し、環境配慮型のスノーリゾートづくりが各地で具体化している。

こうしたスキー場の環境施策を資金面やコミュニティとして支えているのが、滑り手による寄付付きリフト券「POWチケット」だ。リフト券の購入時に寄付金を上乗せし、集まった寄付金の全額をスキー場の環境施策に充てる。寄付金の使途は事前に公開され、シーズン終了後には寄付額と成果を開示・報告する。

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POW JAPANでSRAを担当する八木志菜さんはオルタナの取材に対し、POWチケットの目的を「滑り手がスキー場のサステナブル化を応援することを目指すこと」だと話す。

POWチケットを開始して2年目となる2025-26シーズンは、全国11スキー場で展開し、のべ1726人が参加し、前年から6割強多い約131万円を集めた。一人ひとりの滑り手からの寄付だけでなく、教育機関が団体購入の際にPOWチケットを選択する動きも多いという。

2025-26シーズンに寄付付きリフト券「POWチケット」で集めた寄付の実績と各スキー場の取り組み

今冬の2026-27シーズンには、新たに野沢温泉スキー場(長野・野沢温泉村)や高鷲スノーパーク・ダイナランド(岐阜・郡上市)、たんばらスキーパーク(群馬・沼田市)、みやぎ蔵王七ヶ宿スキー場(宮城・七ヶ宿町)、池の平温泉アルペンブリックスキー場(新潟・妙高市)などが加わり、全国17スキー場・7都道府県へと広がった。

2026-27シーズンは、「POWチケット」を使った取り組みは全国17のスキー場に

さらに、19~22歳のリフト券が無料となる「雪マジ」と連携した「雪マジPOWチケット」の本格展開もスタートし、若い世代がスキーやスノーボードを楽しみながら環境問題に触れる機会も創出する。

■ゲレンデ運営の脱炭素化が進む

取り組みの中で特に目立つのが、ゲレンデ運営にかかわる電力の脱炭素化だ。舞子スノーリゾート(新潟・南魚沼市)では、ゴンドラの冬季使用電力を実質100%再エネに切り替えたほか、戸隠(とがくし)スキー場(長野市)も、メインリフトの電力を再エネに切り替えたことで、スキー場全体の電力使用量の4割相当を再エネ化した。

ほかにも網張温泉スキー場(岩手・雫石町)は、グリーン電力証書を活用し、全リフトの電力を100%再エネで賄う「網張再エネ100チャレンジデー」を開催したほか、名寄(なよろ)ピヤシリスキー場(北海道・名寄市)・ムイカスノーリゾート(新潟・南魚沼市)・湯沢中里スノーリゾート(新潟・湯沢町)・ニノックススノーパーク(新潟・新発田市)でも使用電力を再エネに切り替える取り組みが進む。

■廃棄物削減や地域循環も

廃棄物削減や地域循環モデルを構築する動きもある。エイブル白馬五竜スキー場(長野・白馬村)では、POWチケットの寄付を活用して生ごみ処理機を導入し、一般家庭約50世帯が1年間に排出する量に相当する生ゴミを処理してCO2削減につなげた。

スキー場のふもとでミッフィー農園を運営するかたしな高原スキー場(群馬・片品村)では、来場ゲストの希望者にコンポストバッグを配布して生ゴミ削減を呼びかける。農園にコンポストボックスを設置し、将来的医は、コンポストを使ってできた堆肥で花を育て、来場ゲストにプレゼントするなど、ゲストを巻き込んだ資源循環に取り組む。

白馬八方尾根スキー場(長野・白馬村)では、森林の整備を通じて生物多様性保全に取り組むと同時に、その時に出た間伐材を活用し、チケット売り場付近に手作りのベンチを設置した。

白馬八方尾根開発(長野・白馬村)の松澤さんは、「『皆さんからの寄付で作られたのが、あのベンチです』と直接案内できることが、スタッフとしてもすごく誇らしいし、お客さんも寄付金の活かされ方を想像しやすい。こういうふうに使われるのだったら、POWチケットにしようかな、と考えていただくきっかけにもなったと思う」とコメントした。

サステナブルな運営を継続するスキー場からは、「現場スタッフの環境意識が高まった」「環境配慮に取り組む姿勢に共感したリピーターが定着している」といった声も上がっている。

かたしな高原スキー場は、スキー場の麓で運営するミッフィー農園にコンポストボックスを設置した

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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