■オルタナ86号(2026年9月発売号)特集「アウトサイド・イン」掲載
記事のポイント
- グラミン・ダノン・フーズは、バングラデシュのソーシャルビジネス企業だ
- 栄養強化食の提供を通して子どもの栄養改善を計るミッションを掲げる
- 原料調達や生産に女性や貧困層を雇用し、低所得層の自立も後押しする
グラミン・ダノン・フーズは、バングラデシュのグラミン・ファミリーと仏ダノンが設立したソーシャルビジネス企業だ。ヨーグルトをはじめとする栄養強化食の提供を通して子どもの栄養改善を図るとともに、原料調達や生産を含むサプライチェーンに女性らを取り込むことで低所得層の自立を後押し。バングラデシュが抱える社会課題の解決の一翼を担う。(オルタナ副編集長・長濱慎)

◾️貧困層が活躍できるサプライチェーン
グラミン・ダノン・フーズは、主要なミッションに「栄養を通じての健康の提供」と「脆弱なコミュニティの雇用機会創出」を掲げる。
バングラデシュの社会課題として、子どもの微量栄養素欠乏症や貧困問題がある。これらの解決に向け、マイクロクレジット(無担保の小口融資)などを通して貧困層の支援に取り組んできたグラミン・ファミリーと、食品・栄養分野のノウハウを持つダノンが手を組んだ。
同社によると、主要商品の「Shokti +(ショクティ)ヨーグルト」は、子どもに足りていない栄養素である鉄分、ヨウ素、亜鉛、ビタミンAについて、1食で1日に必要な量の30%を提供するという。
製品の販売にとどまらず、生産・販売・流通に貧困層を取り込んだサプライチェーンを構築した点も、大きな特徴だ。牛乳などの原料は地域の小規模農家から購入し、収益の安定に寄与。これらの生産者を対象に、品質や生産性の向上を支援する研修も行なっている。
工場では、熟練度の低い労働者でも安定した品質で生産できるよう工程を簡素化するなど、地域雇用を生み出す工夫にも取り組んできた。さらに、創業当初は地域の女性を販売員に起用し、収入を得る仕組みも確立した。
同社の公式発表によると、設立から19年の間に33種類の栄養強化食品を提供し、30万人以上が恩恵を受けたという。
◾️子どもの栄養改善へ地域の学校と協働
グラミン・ダノン設立の2006年当時、バングラデシュでは5歳未満児の約4割が発育阻害で、その比率は貧困層になるほど多かった。その背景には、貧困、母親の栄養不良、衛生環境など複数の要因があった。

