高齢者が「自分らしく住まえる」賃貸住宅、共感広がり満室続く

■オルタナ86号(2026年9月発売号)特集「アウトサイド・イン」掲載

記事のポイント


  1. 高齢化が進むなかで、単身高齢者が賃貸住宅に住むケースが増えている
  2. 大家の拒否感は強いが、あえて高齢者をターゲットにした賃貸住宅が人気に
  3. 「借りづらさ」だけでなく「自分らしい住まい方」を価値にして共感が広がる

平均寿命も健康寿命も伸びて単身高齢者も増加するなかで、賃貸住宅の「借りづらさ」の解消と、「自分らしい住まい方」を実現できるかが課題となる。この2つの課題をとらえた「ノビシロハウス」が大きなニーズを獲得している。(オルタナ編集部=萩原哲郎)

ノビシロハウス亀井野では全8室満室で稼働している

日本社会の高齢化が進むにつれて、単身で住む高齢者も増加している。2020年時点で65歳以上の女性の22.1%、男性の15.0%が単身で暮らし、そのうちの3人に1人は賃貸住宅に住む。

こうした単身で住む高齢者の数は今後も増加していくことが見込まれるが、賃貸住宅の貸し手には一定の拒否感を持つ。国土交通省が高齢者の入居に対する賃貸人の意識を調査したところ、依然として7割弱が拒否感を抱く結果となった。

そうした高齢者の賃貸住宅の賃貸住宅の借りづらさに対して、ノビシロ(東京・港)は多世代コミュニティ住宅「ノビシロハウス」を展開し、あえて高齢者を入居者に受け入れている。21年3月に神奈川県藤沢市に「ノビシロハウス亀井野」を開業。全8戸は満室稼働だ。「コミュニティメイト」と称する20~30代の若者も入居して、居住者同士のお茶会の企画やコミュニケーションを住まいながら担う。地域医療や福祉とも連携しながら、高齢者が自立して住める環境を提供する。

ノビシロハウスのポイントは「高齢者の賃貸住宅の借りづらさの解消」と「自分らしく暮らせる場所であること」の2つ。鮎川沙代社長は「住宅を借りられるという最低条件に過ぎない」として、後者に重点を置いてノビシロハウスの価値づくりを進める。

「これまで高齢者が『自分らしく暮らせる』という場所はほとんどありませんでした。核家族化が進んだときに老人ホームができた。そこは離れて暮らす子どもたちにとっては安心できる場所でした。一方で、そこに入居した人は『老人ホームで楽しもう』という感覚にはなれなかったのではないか。そうした親世代を見てきた子ども世代がいま高齢者になって、ノビシロハウスに問い合わせをしている」

「ノビシロハウスは賃貸住宅で、住まう高齢者は一人暮らしと変わらずに自由に自立して過ごすことができる。一時金なども不要で、転居も自由にできるし、最期まで住み続けることもできる。地域医療や福祉とも連携している。自分らしく、かつ安心して住まうことができることがノビシロハウスの価値になっているのではないか」

■27年春に2棟目、40年に100棟へ

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2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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