記事のポイント
- 環境情報開示を推進するCDPが世界の中小企業1万1000社の取り組みを調査した
- 対象企業の95%以上が、ガバナンスやリスク管理などの基盤整備を進める
- 地域別では、欧州企業が進展する中、シンガポールや米国は遅れ気味との指摘も
環境情報開示プラットフォームのCDPは2026年10月7日、世界の中小企業(SME)約1万1000社からの回答データを分析した報告書をまとめた。同報告書によると、回答した中小企業の95%以上で、ガバナンスやリスク管理など、経営基盤の整備が進んでいるが、一方で、環境目標を設定済みの企業は約2割にとどまった。地域別では欧州企業が世界をリードしているのに対し、シンガポールや米国企業の取り組みが遅れているとも指摘した。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

中小企業(SME)は、世界の企業の約9割を占め、事業活動に起因する温室効果ガス(GHG)排出量全体の約6割を占めるとされる。脱炭素社会に向けたトランジション(移行)を進めていく上で、SMEは極めて重要な役割を担っている。
CDPは、質問票を通じて企業の環境関連情報の開示とパフォーマンス評価を行う国際NGOだ。今回、CDPは、中小企業の情報開示企業を評価するための代表的な指標を選定し、質問票を通じて世界の中小企業1万1000社の取り組みを調査し、その結果をまとめた。
指標には、ガバナンス、環境リスクと機会の特定・評価・管理プロセス、特定されたリスク、特定された機会、気候変動に関するリスク・機会が戦略や財務計画に与える影響、ステークホルダーとの対話、温室効果ガス(GHG)排出量の開示、電力消費量、目標、排出削減の取り組みと移行計画が含まれる。
報告書よると、調査対象となったSMEの95%以上が、ガバナンス体制の構築や環境リスク・機会の特定など、主要指標の1つ以上で進展を見せた。その一方で、具体的なGHG削減目標を設定しているSMEは20%にとどまり、排出削減に向けた具体的な取り組みを実施している企業も32%と低位だった。
組織における管理体制やリスク評価といった経営基盤は整いつつあるものの、実際の排出削減目標や具体的アクションへの落とし込みが追いついていないのが現状だ。
国・地域別でも明確な差が表れた。EUでは非上場の中小企業向けに任意でのサステナビリティ報告基準(VSME)を採択しており、フランス、スペイン、スウェーデンといった欧州の中小企業の取り組みが一歩先をいく。一方で、シンガポールや米国の中小企業は、遅れが目立つとした。
■日本の中小企業の傾向は
報告書に、日本の中小企業に特化した記述はない。だがCDPは、オルタナの取材に対し、日本の中小企業360社を対象としたデータ分析の結果として、次のような傾向があると答えた。

