コカ・コーラと埼玉・飯能市が森林保全で提携: 「水破産」を見据える

ゴミを資源へ。製紙会社の挑戦

記事のポイント


  1. コカ・コーラが飯能市と約300ヘクタールの森林保全協定を締結した
  2. 間伐やシカ対策で水源涵養機能と生物多様性の回復を目指す
  3. 「水破産」時代を見据え、企業の水資源保全の責任を訴える

日本コカ・コーラ(東京・渋谷)とコカ・コーラボトラーズジャパン(同・港)は7月28日、埼玉県飯能市と森林保全に向けた協定を締結した。同市西部の約300ヘクタールの市有林で森林・水源の保全活動に取り組む。期間は2027年1月から2035年までとなる。国連大学が今年公表した報告書で「水破産」という概念が示される中、水資源を保全する企業の責任の重要性を説いた。(オルタナ副編集長=京正裕之)

埼玉県・飯能市の森林保全に向けた協定を締結した、田中美代子・広報・渉外&サステナビリティ推進本部副社長(中央)、小林克徳・SCM本部QSE&サプライチェーンエクセレンス統括部長(右)、飯能市の新井重治市長=7月28日

日本コカ・コーラやボトラーズ社を含むコカ・コーラシステムは、全国22工場の流域で、製品に使用した水量の100%以上を自然へ還元する「水源涵養活動」を進めている。今回の協定は、コカ・コーラボトラーズジャパン多摩工場(東京都東久留米市)の周辺流域で進める取り組みの一環で、山梨県丹波山村、東京都八王子市に続く3件目の協定となる。

保全活動の対象となるのは、飯能市西部の白岩・山中地区にある市有林298ヘクタールだ。森林の75%は天然林だが、25%を占める人工林ではスギやヒノキの間伐不足やニホンジカによる食害で林床が荒廃し、土壌流出や水源涵養機能の低下が課題となっている。

今後は、飯能市や西川広域森林組合などと連携し、人工林の間伐や獣害対策を進める。針葉樹と広葉樹が混在する「針広混交林」への転換を図るほか、危険木の伐採や下草管理、森林や生物多様性のモニタリングも実施する。林野庁の試算モデルでは、対象森林は年間約173万立方メートルの水を蓄える能力があり、埼玉県民約732万人が1日に使用する生活用水を上回る量に相当するという。

■「水は社会ステムそのものの問題」

28日の記者説明会では、日本コカ・コーラの田中美代子・広報・渉外&サステナビリティ推進本部副社長が、国連大学が今年公表した報告書で示した「水破産」という考え方を紹介した。「人類が利用できる淡水資源と、人間活動や気候変動などによって汚染・枯渇した水を比べると、後者の方が上回る時代になりつつある」と説明し、「私たちはまだ日々普通に水を使っているが、それは未来世代が使う水を前借りしているのかもしれない」と危機感を示した。

田中副社長は「水の問題は単なる環境問題ではなく、社会システムそのものの問題だ。水を使わせてもらう企業である以上、水を守る責任がある」と述べ、地域ごとの自然や課題に応じたローカルな水源保全の重要性を訴えた。

コカ・コーラボトラーズジャパンの小林克徳・SCM本部QSE&サプライチェーンエクセレンス統括部長は、「製造で使用した水を河川に放流する以上、河川の水よりも品質の良い水にして戻すことがわれわれの責任だ」と説明。流域ごとに自治体や地域団体と連携し、森林保全などを通じて「製品に使用した水以上の水を育む活動を続けていきたい」と語った。

飯能市の新井重治市長は「約300ヘクタールで森林保全活動が進むことで、流域全体の水資源を守るとともに、地域の自然環境や暮らしの安全・安心にもつながる」と期待を寄せた。その上で、森林保全の予算についても積極的に計上していきたいと語った。

hkyosho@alterna.co.jp

京正裕之 (オルタナ副編集長)

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キーワード: #森林保全#水破産

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