その筆頭格は人権問題(発展途上国の生産や原料調達段階で発生する児童労働や強制労働など)だが、環境に対する負荷にも投資家の厳しい視線が注がれる。
石炭や石油事業に対するダイベストメント(投資引き上げ)の動きはすでに米国や欧州で顕著だ。もし自社で生産する農薬が、生態系に大きな影響を与える可能性があるのなら、生産の継続を再検討しなければならない。
ミツバチへの毒性が強く、ネオニコチノイド系農薬と同じ浸透性農薬の「フィプロニル」が、2017年8月末にEU(欧州連合)域内から消えたのは、独BASFなど欧州の化学メーカー各社が同農薬の登録更新を行わず、流通を断念したからだ(オルタナオンライン既報)。
こうした事例を見ると、SDGsの対応とは、攻めも守りも、自社事業の大きな変革を伴うことが分かる。SDGsは企業にとって時には大きな壁にもなり得るが、イノベーションを実現してその壁を越えた企業こそが大きな成長機会を得ることになる。
SDGsを経営に取り込むことは、サステナビリティ経営の根幹であり、21世紀のビジネス界で企業価値を高めるための王道だ。その意味で、SDGsは、CSRの取り組みと全く同義であり、表裏一体の存在と言えるだろう。
2018年は、日本企業のSDGsの取り組みが大きく進化する年だと捉えたい。