2020年の難民認定47人、NGOが制度の改善訴え

難民申請者の約11%を占める複数回申請者や約5%を占める非正規滞在者の処遇が近年悪化しています。難民申請者が安定した立場で審査を受けることができるよう、特に以下2点の課題の解消を求めます。

(1)仮滞在制度の有名無実化:より積極的な活用のための改善を

仮滞在制度の許可率は約3.4%と、2005年の制度開始以来過去最低となっています。在留資格を持たない難民申請者の地位を安定化するための仮滞在制度が機能しておらず、入管収容施設で「第二の迫害」ともいえる状況を経験する方や、仮放免という自由や権利を制約された状態で難民申請の結果を待つ方が後を絶ちません。

例えば、2020年に難民認定を得た無国籍の方は(※5)、2012年に退去強制令書が発付され、長年にわたり収容のリスクにさらされていました。仮滞在の不許可事由のうち、「退去強制令書の発付」や「逃亡するおそれがあると疑うに足りる相当の理由があるとき」を削除するなど、仮滞在制度を積極的に活用するための改善が必要です。

(2)複数回申請者の在留制限:在留を制限するべきではない

2015年と2018年の「難民認定制度の運用の見直し」により、2回目以降の難民申請者の在留を原則として制限する措置がとられています。在留制限の対象とならないためには、案件振り分けによりA案件(※6)となる必要がありますが、そのハードルは非常に高く、多くの方が複数回申請により非正規化されている状況です。

一方、2010年から2018年に難民認定された者のうち、約1割が複数回申請者でした(※7)。難民として認められるべき人が1回目の申請で認められない状況である限り、このような在留制限は行われるべきではありません。複数回申請者の処遇について、2015年よりも前の運用に戻すことを求めます。

3.結び:包括的な庇護制度の確立に向けて

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #SDGs

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