人権DDの実施率は20%: WBA世界2000社調査で明らかに

記事のポイント


  1. 国際的指標を開発するWBAは世界的企業2000社の人権状況を評価した
  2. 人権DDの実施率は20%にとどまり、90%の企業は「基本的な期待にも満たず」
  3. WBAは今回の調査結果を通じて、政府による規制や指導が必要だと指摘する

国際的指標を開発するワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)はこのほど、世界的企業の2000社の人権状況を評価した。世界で高い影響力を持つ企業群であるが、人権DDの実施率は20%にとどまり、90%の企業は「基本的な期待にも応えられていない」とされた。WBAは今回の調査結果を通じて、政府による規制や指導が必要だと指摘する。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

WBAはソーシャルベンチマークを開発し評価を実施した
WBAはソーシャルベンチマークを開発し評価を実施した

ワールド・ベンチ―マキング・アライアンスは国連財団、英保険大手、オランダNGOによって2018年に設立。世界的企業のSDGs達成貢献度を評価するランキングを発表し、民間企業の取り組みを後押しする。

このほど、新たな指標となるソーシャルベンチマークを開発。人権の尊重、ディーセントワークの提供、倫理的な行動の3つの測定分野に対する社会の基本的な期待に応える責任について、世界的企業2000社に対して初の評価を行った。この2000社は9500万人を直接雇用し、バリューチェーンを通じて数億人を雇用する。

WBAは評価を行い、対象企業の90%は基本的な社会的期待の半分も満たしていないと総括する。合計20点満点で評価したが、0点から2点しか獲得していない企業が30%以上に上った。

WBAによれば、従業員に最低賃金を支払うことを約束している、または現在支払っている企業は4%、ILOの基準に準拠した労働時間ポリシーを策定する企業は3%にとどまると指摘する。人権状況を改善するためのプロセスである人権DDの実施率も、20%にとどまった。賃金格差の開示もわずか2%だった。

WBAの社会変革リーダーであるナミット・アガルワル氏はこれらの結果を受けて「規制やガイダンス、外部からの圧力は企業を正しい方向へ導くために必要だ」と指摘した。

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

執筆記事一覧
キーワード: #ビジネスと人権

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..