サステナ経営塾2026: [企業事例:キリンの気候変動・自然資本の統合開示とCSV経営の描き方]大島健太・キリンホールディングス CSV戦略部長 講義

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オルタナは9月16日、サステナ経営塾22期上期第5回を開いた。第4講には、キリンホールディングスの大島健太・CSV戦略部長が「キリンの気候変動・自然資本の統合開示」と題して講義した。講義の要旨をまとめた。

大島健太・キリンホールディングス CSV戦略部長

・キリンは1907年の創業以来、ビール事業を軸に発展してきたが、1980年代のバイオテクノロジー研究を機に医薬事業へ参入した。現在はビールや飲料に加え、医薬事業、そして発酵・バイオ技術とBtoCの強みを活かしたヘルスサイエンス領域へと事業ポートフォリオを変革し、2035年に向けて「人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として、世界をもっと元気にしている」を目指している。

 ・同社が本格的にCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)経営へと舵を切った背景には、2011年の東日本大震災における仙台工場の被災体験がある。同社の復興支援に対するステークホルダーや投資家との対話を通じて、「事業の成長と社会課題の解決を両立させることの重要性」を再認識し、経営の中心にCSVを据えた。

・キリンはグループマテリアリティを踏まえ、「酒類事業を営むキリングループとしての責任」「健康」「コミュニティ」「環境」の4つのCSVパーパスを設定した。さらに、これらを具現化するために詳細なコミットメントとKPIを割り当て、アクションプランとして推進している。

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・CSVの実行性を高めるため、経営陣が集まる「グループCSV委員会」だけでなく、各機能部門や事業会社のキーパーソンが集まる「CSV担当者会議」を設置した。ワークショップなどを通じて横断的な課題解決や「事業会社版マテリアリティ」の策定を推進している。また、従業員の活動にスポットライトを当てる社内コミュニケーションなどを継続することで、自律的な実践を促している。

 ・環境領域を中心に先進的な情報開示を行っており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の試行的開示を早期から実施してきた。その蓄積を活かし、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の開示基準についても法定義務化に先駆けて前倒しで先行対応した。

 ・2020年に制定した「グループ環境ビジョン2050」のもと、気候変動、生物資源、水資源、容器包装を統合的に捉えている。TNFDやSBTN(サイエンス・ベースド・ターゲッツ・ネットワーク)の枠組みを用いて自社拠点およびサプライチェーンのリスク分析を行い、米国のブルワリーにおける節水・水源域保全や水害対策など、地域のステークホルダーとの協働による移行計画を進めている。

・自社で手掛けるワイン用ブドウ畑(メルシャン椀子ヴィンヤードなど)では、遊休荒廃地をヴィンヤードへ展開すると同時に草生栽培によって良好な草原環境の創出を行い、アカデミア(農研機構など)と連携して生態系調査を実施してきた。草原生態系の再生と動植物の定着を確認し、環境省の「自然共生サイト(OECM)」認証を取得するなど、地域社会や産業基盤の活性化に寄与している。

・主力商品「午後の紅茶」の原料であるスリランカ産紅茶葉の持続可能な調達に向け、レインフォレスト・アライアンス認証の取得支援や環境再生型農業(リジェネラティブ・アグリカルチャー)の普及を支援している。現地の大学、NGO、農家と連携した「コレクティブアクション」を展開するほか、農園の子供たちを対象とした「キリンネイチャースクール」を通じて次世代への環境教育やウェルビーイング向上にも取り組む。

・規格外の果実を活用した「氷結mottainai」シリーズのように、フードロス削減と農家支援を両立する商品を展開している。サステナビリティの取り組みを商品価値として届けることで、若年層を中心に共感を獲得し、ブランド全体の好意度向上や顧客基盤の拡大につなげている。

susbuin

サステナ経営塾

株式会社オルタナは2011年にサステナビリティ・CSRを学ぶ「CSR部員塾」を発足しました。その後、「サステナビリティ部員塾」に改称し、2023年度から「サステナ経営塾」として新たにスタートします。2011年以来、これまで延べ約700社900人の方に受講していただきました。上期はサステナビリティ/ESG初任者向けに基本的な知識を伝授します。下期はサステナビリティ/ESG実務担当者として必要な実践的知識やノウハウを伝授します。サステナ経営塾公式HPはこちら

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キーワード: #サステナ経営塾

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