オルタナ73号「DEIは競争力の源泉」の全コンテンツ

オルタナ73号(2023年6月発売)の全コンテンツは次の通りです。

■編集長コラム「alternative eyes」: 企業が日本のDEIの旗手に
オルタナ73号の第一特集は「DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)は競争力の源泉」です。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)という言葉はこの数年で「DEI」へと進化しました。(森 摂)

■social design gallery  
渋谷を彩る「福祉×アート」
主に知的障害のある作家によって制作されたアート作品を建設現場や商業施設内の仮囲いを利用して発表する「ウォール・アート・ミュージアム」。手掛けるのは、福祉実験ユニット「ヘラルボニー」。障害のある作家や福祉施設と契約を結び作品を商品やインテリアデザインに昇華、企業に利用してもらうことで利益を還元する。

■高橋さとみの切り絵ワールド──ちがうことから始まる
命あるものに同じものはない
違っているから世界は広がる

■世界のソーシャルビジネス
[ウクライナ]戦災がれきを再生コンクリに
ウクライナ戦争で「がれき」と化した建築物は推定約1200万㌧に上る。これらをリサイクルし「再生コンクリート」として活用することで再建に挑むウクライナ企業が出てきた。今後は、高度なリサイクル技術やノウハウを持つ欧州や日本企業との連携を模索する。(オルタナ編集部・北村佳代子)

[スウェーデン]EV給電高速道、3000㎞構築へ
スウェーデンは2035年にも、走行中のEVに給電できる「Eモーターウェイ」(給電高速道路網)を3000km建設する。特にトラックやバスなどの大型EVは大型バッテリーが必要なため、走行時給電によってバッテリーの小型化や、車両生産コストの低減が可能になる。(オルタナ編集部・北村佳代子)

[米国]垂直農業相次ぐ、グーグルも屋内に
自然と対峙する農業とは真逆の「農業」が米国で話題だ。垂直に作付けする「垂直農業」だ。作物に最適な環境をアルゴリズムで再現し、天候の影響を受けず一年中栽培できる。農薬を使わず、水の利用量を最大で95%削減した。米グーグル本社はこのシステムを取り入れ、採れたての野菜を社員食堂で提供する。(オルタナS編集長・池田真隆)

■第一特集: 「DEIは競争力の源泉」
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I、多様性と包摂)はDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に進化した。そして、LGBTQなど性的少数者、障がい者、移民や難民など社会的弱者を社会・企業・組織に積極的に取り組むことは、自由闊達な組織風土をつくるとともに、「競争力を高めるために不可欠」との認識が広がってきた。

日本はDEIの伸びしろが多い
元OECD東京センター所長の村上由美子氏は、「多様性のない日本企業は危機的状況にある」と指摘する。DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を企業競争力に生かすリーダーの条件を聞いた。

キヤノンショック、女性役員ゼロの弁明は時代遅れ
女性役員ゼロの日本企業の議案に反対する機関投資家が増えている。2022年7月末時点ではプライム上場企業の2割弱の344社に女性役員がいなかった。その1社キヤノンの株主総会では、御手洗冨士夫会長兼社長CEOの取締役再任議案に多くの反対票が集まった。いわゆる「キヤノンショック」だ。

障がいの課題は製品・技術で解決
環境や社会の仕組みが「障がい」を生み出すととらえる「障がいの社会モデル」という考え方がある。こうした社会的な障壁を取り除く、さまざまな製品やサービスが生まれている。「合理的配慮」は、リスク管理にとどまらず、イノベーションを促進し、ビジネス創出につながりそうだ。

LGBTQ支援、大学にも広がる
LGBTQ当事者を支援し、受け入れ体制を整える動きは、教育機関にも広がっている。中央大学や早稲田大学などは専門のセンターを開設したほか、大学関係者による「大学ダイバーシティ・アライアンス」(UDA)も生まれた。

シニアとDEI、80歳、90歳も活躍、生きがいも成長も
少子高齢化に伴い、企業の人材不足がますます深刻になってきた。住友林業は柔軟な再雇用制度を取り入れ、70歳以降も再雇用を可能にした。ノジマも再雇用契約の上限を80歳に引き上げた。日本マクドナルドでは94歳のクルーが活躍する。シニア人材が「生きがい」を持って人生を送ることにも貢献する。

北米トヨタがDEIで全米4位、カイゼンも進む
北米トヨタが150社以上が参加する全米企業のDEIランキングで2年連続で4位にランクインした。DEI施策を進めることで、社員の定着率向上や、社員からアイデアが共有されることでの「カイゼン」も進む。

積水ハウス、人材サステナ戦略、男性育休率は100%
積水ハウスの「D&I」の取り組みは、2006年の「人材サステナビリティ」宣言から始まった。女性活躍から始まり、男性育休にも取り組んできた。男性育休取得率は19年から100%の取得を実現した。23年にはEの推進を目指し、DEIを掲げた。

ヘラルボニー、社会的な障壁をアートで変える
ヘラルボニーは「障害」を社会的障壁ととらえ、その所在を社会に問題提起する。アートライセンス事業を展開する同社はあえて営利を追求する株式会社の形態にこだわり、2027年度の株式上場を目指す。

大橋運輸、中堅中小企業こそDEIとESがカギ
人材確保が難しい物流業界で、大橋運輸(愛知県瀬戸市)への応募は途切れない。同社では、LGBTQ当事者、障がいがある人、外国人、高齢者など、多様な人材が活躍している。鍋嶋洋行社長は「中小企業こそDEIに取り組んでほしい」と語る。

■第二特集: 責任果たせぬなら、プライムから去れ
池田 賢志氏(金融庁CSFO)インタビュー
金融庁の池田賢志CSFOはオルタナの取材に対して、東証プライム上場企業でもサステナビリティに対する取り組みが足りなければ「上場先をプライム市場から変更するのが筋ではないか」と強い口調で語った。池田氏は「プライム上場を維持したいなら積極的に責任を果たすべきだ」と話した。

第三特集: プラ汚染防止条約へ、野心的な目標を日本は描けるか
プラスチック汚染防止条約の策定に向けた国際交渉の第2回会合が、6月2日に閉幕した。2024年末までに条約制定を目指し、11月までに最初の草案をまとめる。世界共通ルールの導入を目指すが、積極派と消極派で二分している。

■トップインタビュー: 「『中計病』から脱却、挑戦を促す風土へ」
森島 千佳氏(味の素 執行役常務)
味の素の藤江太郎社長は2023年2月、30年までの経営戦略を発表した中で、「中期経営計画」の廃止を宣言した。いわゆる「中計病」から脱却し、社員がワクワクして挑戦しやすい社風づくりに取り組む。そのための指標として、社会価値と経済価値を統合したASV指標を掲げた。

■トップインタビュー: 「オープンな社風へ、エクイティ進める」
種家 純氏(ANAホールディングス 上席執行役員)
新型コロナ禍で過去最大の赤字を出した全日本空輸は、需要回復と事業構造改革によるコスト削減が進んだことで2023年3月期に3期ぶりの黒字化を達成した。非航空事業にも力を入れる同社は、DEIのうち「エクイティ」を重要視した「オープンな組織風土」づくりを目指す。

■トップインタビュー: 「自社株を消却せず配当を原資に財団」
山根 聡氏(小林製薬 専務取締役)
小林製薬が、買い取った自社株の配当を元手に公益財団を立ち上げて5年あまりが経った。本来なら、自社株は消却して一株当たりの利益を上げるのが一般的だが、同社は配当を社会貢献に充てた。その考えが株主の理解も得て、財団が動き出した。設立に尽力した山根聡専務に真意を聞いた。

■インタビュー: 再エネ100%は夢物語ではない
大石 英司氏(UPDATER代表取締役社長)
ウクライナ戦争による一時的な化石燃料回帰、原発推進のGX法案成立、新電力の相次ぐ撤退など、再生可能エネルギーの推進に逆風が吹いている。しかし、調達電力の9割以上が再エネの「みんな電力」を運営するUPDATERの大石英司社長は、今できることを着実に進めれば、再エネ100%は十分に可能だと言い切る。

■「オルタナティブの風」(田坂広志) 「言語知」から「身体知」の時代へ
これからの時代、AIの驚異的な進歩によって、人材に求められる条件と教育機関に求められる条件が、二つの点で、大きく変わっていくだろう。

■エゴからエコへ(田口ランディ) 「生きる力ってなに?」
少子化政策があまりにズレている。本当に少子化を止めたいと思っているんだろうか。根本的になぜ若者が子どもを産めないかが、政府はわかっていない。子どもを育てていく自信がないからだ。

■ESG情報開示最前線 (ESG情報開示研究会)
ESG活動が収益率を押し上げ
日立製作所は2021年7月に京都大学経営管理大学院・砂川(いさがわ)伸幸教授と共同研究プロジェクトを立ち上げました。非財務・無形資産への取り組みが、財務にどのようなインパクトがあるかを証明することが狙いです。

生物多様性への「依存」とは
生物多様性とビジネスは、その距離を急速に縮めつつあります。2022年12月は「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。30年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30目標」が主要な目標の一つとして定められ、ビジネスにおける生物多様性の主流化などの目標が打ち出されています。

■「真のサステナビリティ投資とは」(澤上篤人) 円安大合唱では日本は沈む
国を挙げてのインバウンド熱が高まっている。海外からの旅行客を増やし、お金を落としてもらう。それでもって、国内景気を高めようという算段だ。その鍵は円安である。海外からの旅行客からすると、円安はそれだけ日本への旅行がお得となる。

■モビリティトピックス(島下泰久)
液体水素で24時間耐久レース/ル・マン、30年に100%水素化へ/電動車ならでは、容易に性能アップ/いすゞとホンダ、FC大型トラック開発へ

■「モビリティの未来」(清水和夫) 高級スポーツカーとLGBTQ
LGBTQの権利を強く主張する欧米では、自動車を使ったユニークなイベントが開催されている。有名なのは毎年新年を祝うイベントとして開く「ヨーロピアン ゲイカー・オブ・ザ・イヤー」だ。

■農業トピックス
オーガニックビレッジが続々と/不適格な「日向夏」を飲料や菓子に/JTB、缶詰で食品ロスを低減へ/日東工業、太陽光で農地再生へ

■日本農業 「常識」と「非常識」の間(徳江倫明) 農業政策見直し、国民と議論を
ぼくに支持政党はない。あえて言えば、目指すべき政策の実現を共有できる議員を支持するということになる。

■林業トピックス
自伐型林業、10年で大幅増へ/EU、森林破壊フリーへ規制強める/治山対策は急務、気候変動に対応を/木造人工衛星実現へ、耐久性を実証

■「森を守れ」が森を殺す(田中淳夫) 「雑木」という木は存在しない
NHK朝ドラ「らんまん」のおかげか、牧野富太郎の「雑草という草はない」という言葉が知られるようになった。

■漁業トピックス
水産業界初の「Bコープ認証」/水産庁、トリチウムを毎日分析へ/ニッスイが進める養殖魚の福祉とは/海藻を牛に与えメタンガス削減へ

■「人と魚の明日のために」(井田徹治) ウナギの危機は続く
メディアでも近年、あまり取り上げられることがなくなったが、ニホンウナギを取り巻く状況は今も非常に深刻だ。水産庁によると2022年11月から今年初めにかけての今期のシラスウナギ漁も低調だった。

■フェアトレードトピックス(潮崎真惟子)
「最低価格」を3割引き上げ/「フェアトレード大学認定」とは/業種別の人権・環境DDガイド相次ぐ

■「フェアトレードシフト」(潮崎真惟子) 世界的にFT産品の需要高まる
5月にフェアトレードインターナショナルが発表した数値によるとフェアトレードに参加する世界の生産者・労働者は2021年に200万人を突破した。中東、アフリカ、中南米、アジア太平洋のすべての地域で増加し、全体では前年比4%増となった。

■ファンドレイジングトピックス(宮下真美)
資金提供も「インパクト連動」へ/インパクト投資残高は約6兆円に/ファンドレイザー、描くキャリアは/資金調達は「継続寄付」で

「社会イノベーションとお金の新しい関係」(鵜尾雅隆) 評価が「評価」されるために
「社会を変えるということは、制度や事業が生まれることではなく、一人ひとりの『モノの見方』が変わることだ」。これは社会変革の本質を表している。

■廃棄物・静脈物流トピックス(エコスタッフ・ジャパン)
太陽光パネルの2Rを推進へ/経産省、再エネ設備廃棄へ対策/プラ新法成立後、処分事例に学ぶ/四国初、空港作業車にバイオ燃料

■論考・サーキュラーエコノミー(細田衛士) ペットボトルの水平リサイクルが熱い
このところ、ペットボトルからペットボトル(P2P)への水平リサイクルが本格化している。原料となる使用済みペットボトルをめぐって取り合いが生じるほどだ。

■欧州CSR最前線(下田屋毅) 飲食店の新グローバル基準
2023年6月、サステイナブル・レストラン協会(SRA:本部英国)は、食のサステナビリティのグローバル基準である「FOOD MADE GOODスタンダード」を発行した。これは各分野の専門家が、最新のサステナビリティ評価指標を飲食店・レストランに提供するものだ。前回その概要に触れたが、改めて詳細を紹介する。

■CSRトピックス(CSR48)
TDLコスチュームをアップサイクル/無印良品の「もったいない市」/フェアトレード意識、年々高まる/三井不、服の循環拠点を木更津に/マットレスに海洋プラごみ/楽天が「対話」のノウハウ明かす/[総監督のつぶやき]まだ知らない国連・平和の鐘

■「こころざし」の譜(希代準郎) 泥んこシルクロード
遠くうっすらと稜線を残して山々が連なる。それを背に草原を駆け抜ける馬の群れ。草はまばらで土煙があがる。ドッ、ドッ、ドッと地響きを立てて疾走している数は二十頭を超える。一人取り残された卓也には、風を切って走る心地よさよりも落馬の怖さの方が勝り、馬の背中しか目に入らない。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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