オルタナ74号(2023年9月発売)の全コンテンツは次の通りです。
■編集長コラム「alternative eyes」:「志」と「良心」とサステナ経営
オルタナ74号をお届けします。今号の第一特集は「サステナ経営浸透完全マニュアル」です。企業のサステナビリティ担当者は実感しておられると思いますが、サステナ経営の最大の難所は「社内浸透」です。
■高橋さとみの切り絵ワールドー心を掴む
きっかけは何であれ心から惹かれると
自分から動き出したくなるものだ
■世界のソーシャルビジネス
[マレーシア]アクセサリーで難民の教育支える
マレーシアには世界各地から難民が集まる一方で、「不法移民」として扱われ、生活環境は厳しい。そうしたなか、難民の教育支援につながるアクセサリーブランド「Fugeelah(フジーラ)」が誕生した。立ち上げたのは、元ミス・ユニバース・マレーシアだ。
[カナダ]使い捨て割り箸をモダンな家具に
使い捨ての割り箸を再利用し、モダンな家具や家庭用品にアップサイクルする企業が注目を集める。2016年に木材エンジニアが立ち上げたチョップバリューだ。使い終わった割り箸を回収し、モダンな家具に再生する「サーキュラーエコノミー型事業」への共感の輪が広がる。
[米国]道路も走れる空飛ぶクルマ
米連邦航空局(FAA)は7月、アレフ・エアロノーティクス社(米カリフォルニア州)が開発した「空飛ぶクルマ」に対し、テスト用の特別耐空証明を発行した。道路の走行と空の飛行の両方ができる電気自動車(EV)が、米政府から承認を受けるのは初だ。2025年末の引き渡しを予定する。
■第一特集: 「サステナ経営浸透 完全マニュアル」5つのメソッド+ロードマップ
【❶トップが「なぜ」を知る】サステナ経営は風土改革
サステナビリティ(持続可能性)を経営に統合するプロセスは、サステナブル経営における「最重要課題」だ。すべての部署が事業におけるサステナビリティを理解しないと、思わぬ「リスク」が起きたり、「機会」を逸したりする。サステナ経営を社内に浸透させるためのメソッドをまとめた。
【❷従業員に体験させる】やる気と気づき、仕事にもプラス
さまざまな試みを駆使して、サステナビリティの理解だけでなく、モチベーションも高める動きが出てきた。三井住友FGの「プロボノ」、スターバックスの「タンブラー部」、ユニリーバの「リバースメンタリング」を例に解説する。
【❸事業に結び付ける】社会課題を起点に新規ビジネス創出
社会課題を知り、自社の事業と結びつけてその課題解決を図る「アウトサイド・イン・アプローチ」で、ビジネスに取り組む企業が増えてきた。サステナビリティに資する取り組みを、「コスト」ではなく、「新たなビジネス機会」と捉えることで、自社のサステナ経営につなげる動きだ。
【❹社内で競う・褒める】自主性を育成し挑戦する風土へ
社内表彰制度やビジネスコンテストなどに、サステナビリティの観点を取り入れる企業が増えてきた。社員の自主性を育み、正解のない問いに対して、チャレンジしやすい風土をつくることが目的だ。NTTは10年前から表彰制度を開催する。
【❺家族も巻き込む】社員の誇りは家族が後押し
サステナ経営の浸透に向けて「家族」がカギとなる。社員の家族が会社に信頼を寄せれば、社員の会社への自尊心やモチベーションの向上につながる。企業が積極的に取り組むのが「健康経営」での実装だ。
【サステナ担当者座談会】存在意義と収益性、二項対立にしない
サステナ経営の重要性が高まる一方で、社内浸透に課題を抱える企業は多い。経営層や社員の理解を深め、行動を促すには何が必要なのか。ブリヂストン、リコージャパン、KDDIのサステナ担当者が議論した。
【サステナ経営】社内浸透を進める4つのステップ
サステナビリティ(サステナ)領域において、社内浸透は最大テーマの一つだ。この分野に詳しい、SDGsアントレプレナーズの吉野賢哉代表パートナーは「サステナが社内浸透をしている状態は、サステナが全ての事業活動における意思決定の要素として考慮されている状態だ」と指摘する。同氏が社内浸透を進めるためのステップを解説する。
■トップインタビュー: 「300年続く先義後利、社員の熱量高める」
好本達也・J.フロント リテイリング社長
大丸松坂屋百貨店やパルコを抱えるJ.フロント リテイリング。300年続く社是「先義後利」のもと、従来型の百貨店モデルから脱却し、コロナ禍を経て再成長を目指す。その原動力となるのが、若手社員の熱量だ。好本達也社長に、その狙いを聞いた。
■トップインタビュー: 「TNFDの期待にICTで応える」
清水茂樹・NEC執行役コーポレートSVP兼CSCO
NECは7月、国内IT企業としては初の「TNFDレポート」を発行した。ICT事業を行う同社の自然資本に関するリスクは高くない。率先して取り組んだのは、自社のICTサービスが「ネイチャーポジティブ」に役立つことを証明するためでもあった。
■トップインタビュー: 「緑のローソンで社会課題に挑む」
郷内正勝・ローソン専務CRO兼CSO補佐・CS推進室長
「青」のイメージのローソンが「グリーンローソン」を昨年11月、都内にオープンした。プラゴミや食品ロスなど、様々な社会課題の解決に取り組む「実験の場」だ。郷内正勝専務執行役員CRO兼CSO補佐は「社会的課題の解決が、財務の向上につながる」と語った。
■サステナブル★セレクション2023
「サステナブル★セレクション」とは、サステナブルな理念と手法で開発された製品/サービスを選定して、オルタナが推薦する仕組みです。一つ星は製品/サービスの持続可能性を審査し、二つ星はこれに加えて組織のサステナビリティを審査します。2023年一つ星は39点、その内二つ星は19点を選定しました。三つ星は、2023年11月に発表いたします。2024年の公募は来年春を予定しています。
■オルタナティブの風(田坂広志)「新時代の教養」 三つの深化
これからの時代、「教養」というものは、どう変わっていくべきか。
■エゴからエコへ(田口ランディ)水俣病、コロナ禍、そして「処理水」
今年も10月7日から11月14日まで、福岡アジア美術館で「水俣・福岡展」が開催される。私もトークゲストとして参加する予定だ。
■ESG情報開示最前線(ESG情報開示研究会)
サステナ開示は国際標準化へ
ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、最初の2つの基準IFRS S1(全般開示要求事項)とIFRS S2(気候関連開示)(以下ISSB基準)を公表しました。
「供給網」含めて脱炭素化を
脱炭素社会の実現に向けた取り組みの情報開示の重要性はますます高まっています。シスメックスでは様々な環境対応を進めており、血液検査機器の小型化や環境負荷の少ない原材料の使用などを推進しています。遺伝子検査などに使われる試薬の超低温輸送についてもその一環です。
■真のサステナビリティ投資とは(澤上篤人)「安売り日本」でいいのか
外国人観光客の積極的な誘致、インバウンドが活況となっている。ずっとデフレ気味だった日本は海外諸国からみると、ホテル代も食事代も恐ろしく安く、それでいて清潔かつ安全ときた。まるで天国旅行をしているかのように映る。そこへ円安もあって訪日客は、ごきげんそのものである。
■モビリティトピックス(島下泰久)
テスラの充電規格、欧州にも/対テスラ式充電網、7社がスクラム/BMW、日本でFCEVを実証へ/トヨタ、専任組織でBEVに本腰
■モビリティの未来(清水和夫)ギガキャストがトヨタを変える
テスラの新しい製造法として注目されるのが、「ギガキャスト」という従来とは異なる製造法だ。関係者は「まるで隕石が落ちたような新しいバッテリーEV(BEV)の製造法」と考えている。
■農業トピックス(オルタナ編集部)
コメでJ-クレジットを創出/直営農場の有機転換を進める/VRと遠隔操作で障がい者も農業に/農産物などの価格を適正に
■日本農業「常識」と「非常識」の間(徳江倫明)有機化が成長を後押しする
最近、「農業経営者」という農業誌から「有機給食の全国展開運動・私はこう思う」という原稿依頼があった。そもそもの題名が「オーガニック給食運動はここが危うい」だった。
■林業トピックス(オルタナ編集部)
エリート樹木で花粉を減らす/木造ビルでコスト減と脱炭素に寄与/農工大などが森林再生で協定/森林ファンドを600億円で組成
■「森を守れ」が森を殺す(田中淳夫)EU伐採規制に対応できるか
EUに森林に関わる新たな制度が誕生したことを知っているだろうか。
■漁業トピックス(オルタナ編集部)
海水温上昇でサバ減少に懸念/欧州、漁船にもGPSを義務化へ/食べて磯焼け対策、三重県で始まる/岡山県で国内初の「受注漁」
■人と魚の明日のために(井田徹治)海水温上昇、サンゴ礁に迫る危機
海の貴重な生態系の一つ、サンゴ礁に危機が迫っている。海洋汚染に加え、地球温暖化の影響が顕在化しつつあるからだ。2023年は世界各地で海水温が高くなるエルニーニョ現象が発生、サンゴへの影響がさらに拡大すると懸念されている。
■フェアトレードトピックス(潮崎真惟子)
認証コーヒー、社内浸透にも/「開発協力大綱」、8年ぶりに改定/カスケード型研修、生産者の知識養う
■フェアトレードシフト(潮崎真惟子)「人権尊重」の公共調達を
4月、日本政府は公共調達において人権尊重の取り組みを努力義務化する方針を発表した。入札希望者や契約者には「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に沿って人権尊重に取り組むことを求めた。各省庁の入札説明書や契約書などに同要請が記載される見込みだ。
■ファンドレイジングトピックス(宮下真美)
大学向け資金調達ガイド/カードゲームで寄付の「意義」養う/資金調達スキル、キャリア教育にも/NPOの信頼性を可視化へ
■社会イノベーションとお金の新しい関係(鵜尾雅隆)信頼と共感に基づく金融が進化する
「『社会的成果(アウトカム)を買う』という発想の助成金があってもいい。それが私たちのスタートの原点だった」。世界で今最も注目される国連組織であるエデュケーション・アウトカム・ファンドの創設者で代表を務めるアメル・カルブール氏は本年7月の来日時のセッションでこう語った。
■廃棄物・静脈物流トピックス(エコスタッフ・ジャパン)
廃マットレスをリサイクルへ/資源循環社会へ、大手銀と連携/ゴミから堆肥に、短期間で製造/白井グループ・白井徹社長が逝去
■論考・サーキュラーエコノミー(細田衛士)リチウム電池の火災、生産者の責任は
この原稿も20回を越える連載になった。正直、話題が尽きるのではないかと一時心配することもあったが、それは杞憂に過ぎなかった。次から次へと話のタネが出てくるのだ。実際、今回もどの話題で原稿を書こうかと迷ったほどだ。
■欧州CSR最前線(下田屋毅)「ゲノム編集食品」の危うさ
欧州委員会は7月5日、ゲノム編集食品に関する規制緩和に向けた立法案を発表した。この法案では、ゲノム編集と遺伝子組み換え作物に対する表示義務、安全性チェック、あらゆる種類の責任プロセスが廃止される。
■CSRトピックス(CSR48)
サステナ情報開示をクラウドで支援/コープさっぽろ、地域共助を促す/障がい者手帳がスマホアプリに/食品6社、CO₂削減へ物流で連携/「マイクラ」で子どもにSDGs教育/「デコ活」で暮らしの脱炭素を促す/[総監督のつぶやき]「グリーンハッシング」とは
■「こころざし」の譜(希代準郎) 先生はセニョリータ
遠くうっすらと稜線を残して山々が連なる。それを背に草原を駆け抜ける馬の群れ。草はまばらで土煙があがる。ドッ、ドッ、ドッと地響きを立てて疾走している数は二十頭を超える。
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